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映画の感想

チョコレートドーナツという映画を見た。

ゲイのカップルが子供を引き取って育てようとする話。いい映画だったからよっぽど同性愛者を憎んでいるか、子供が嫌いじゃない限りは見てほしい。

 

 

 一回目は子供を深く愛しているのに、理不尽な差別の目になすすべなく敗北するマイノリティに同情して泣いた。あまりのやるせなさに心の底から怒った。一応現実の出来事に着想を得ただけで映画自体はフィクションなのだが。観終わった後にこの世に差別があること、それによって幸せになることを阻まれる人がいることに怒りがわいた。

 そのあと落ち着いてもう一度見てみた。一度目よりは冷静にいろいろなところを見ることができた。そのなかで個人的に印象に残っているのが、法廷で子供について質問されるシーン。

 登場する子供はダウン症の少年なのだが、お気に入りでずっと抱いているアシュリーというブロンドの人形がいる。この人形はカップルが引き取るよりも前、ろくでなしの母親のところにいたころから抱いている物なのだが、世間からすればお人形というのは女の子のおもちゃだ。しかし少年はこのおもちゃを気に入っていてどこに行くにも抱いていた。法廷の人間はゲイが子育てをすることはジャンキーの母親のもとにおいておくよりも子供に悪影響を及ぼすと頭から決めてかかっており、キスだったり性的なことも根掘り葉掘り聞いてくる。ただの、子育てを望むカップルに対して性行為の有無などを人前で聞くのは非常識というか失礼というかそんなことはきかないだろうということを聞く。子供の前でキスはしたのかとか、親の仕事場に子供を連れて行ったのかとか。

 主人公のカップルの片方は法律関係の仕事をしているから多分そこそこなエリートなのだと思う。しかしもう片方はゲイバーで女装をして踊るパフォーマーなので裁判官からの信用がまあ無い。それで相手の弁護士?検事?のような人にそこを散々に突かれてしまう。例えばゲイが子育てすることで子供に悪影響を及ぼすとは思わないのか、子供の前で女装はしたのか(ハロウィーンの時に仮装でしてしまっていた)、そして極めつけの質問が少年のお気に入りのおもちゃは何なのか? ここまで読んだ人は少年のお気に入りのおもちゃに関してカップルは関与してないことが分かるだろうが、相手側からすれば「ゲイに育てられた少年はお人形がお気に入りだった」という記述にされてしまう。そのことに気づいたゲイが涙をこぼすのが本当につらい。

 ここで私は確かにゲイだからという理由で捻じ曲げた証言を取ろうとするあくどい検事(刑事事件じゃなくてもこういうのかはわからないのだが)にも確かに怒っているが、それよりもむかつくのは少年は自分の意思でお気に入りのアシュリーを連れているのにそれを育てたのがゲイだからという偏見に曲げられてしまうことだ。別に少年がお人形遊びが好きでもなんの問題もないじゃないかと思うが、どうやら常識の中では少年がお人形遊びをするのはおかしくてどこかに原因を求めるらしい。ゲイのカップルが直面する大きな差別のそばでこんな小さな偏見も描かれていたのが強く印象に残っていた。

 差別といえば、途中エリートだったほうの男はゲイであることが職場にばれて解雇される。状況的には彼は施設に入れられる子供をこっそり育てたりと褒められて事はしていなかったが、それでも同性愛者というだけで職を追われるのがすごいというか、本当にそんな差別があったのかと感心すらしてしまった。

登場人物の服装からもわかるとおり舞台は少し前の時代だから、現在はもう少し人間社会が進歩していることを願いたい。

上手くまとまらなかったけれど、見る人によって心に来る場面はそれぞれだと思うのでぜひ見てほしい。レンタルビデオとかの洋画ドラマの棚に置いてあると思う。